木造戸建て住宅の、本体解体の流れを解説。木造ならではの特徴とは?

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日本の戸建て住宅は、ほとんどが木造です。木造住宅の解体は鉄骨や鉄筋コンクリート造とは一味違う特徴があり、注意しなければならない点が存在します。

今回は木造戸建て住宅の解体工事の流れとともに、その注意点についても詳しく見ていきましょう。

木造住宅解体のポイント

木造住宅解体の特徴とは?

木造の建物は、鉄骨造や鉄筋コンクリート造の建物と比べると強度が低めです。そのため、解体する際には特に専用の工具や重機、専門的な知識といったものは必要ありません。また、堅い材質の建物よりも解体費用も安く抑えられるという傾向があります。

さらに、木造住宅を解体する際には「手壊し工法」が用いられるのが特徴的です。重機でまとめて破壊するのではなく、手作業(もちろん工具は使います)で丁寧に少しずつ解体していくのです。

このやり方には、近年「建設リサイクル法」という法律ができあがったことによる影響が大きくあります。解体工事の際に出る廃材はひとつひとつ分別して処分しなければならなくなったため、以前のように重機で「ミンチ解体」とはいかなくなり、丁寧な「分別解体」が求められるようになりました。

木造住宅に限りませんが、建物には多くの種類の資材が複雑に絡まって使用されています。これを従来のように重機でいっぺんに破壊してしまうと、その後の分別作業が非常に面倒なものになってしまうため、できるだけ「分別しながら解体」していくことが求められるのです。

メリットは大きいですが、その分手間と時間と費用がかかってしまうというデメリットも存在しています。

この、木造住宅解体で用いられる「手壊し工法」について、次項でもう少し詳しく見ていきましょう。

手壊し工法とは

前述したように、現在は重機でまとめて解体するやり方はできず、基本的には手壊しで必要に応じて重機も使用するという「重機併用手壊し工法」が、解体工事では主流になっています。

「手壊し」とは、その字の通り工具を用いて人間の手作業で解体を行っていくことです。建物の内装のほとんどは手壊しできるため、基礎部分などを除いた建物内部はほぼ手壊しで進めていきます。

また、道幅が極端に狭い・敷地が道路よりもかなり高い位置にあるなどの理由で、重機が現場に到達できない場合にも、必然的に工事の作業のほとんどを手壊しに頼らざるを得なくなります。

手壊し工法のメリット

何度も述べている通り、手壊し作業の最大のメリットは「丁寧な分別解体を進めることができる」という点です。

また、騒音・振動・粉塵の飛散という、解体工事の三大迷惑要素を大幅に抑えることができるのも、良いところでしょう。

手壊し工法のデメリット

丁寧な作業を人力で行うということは、それだけ時間がかかるということです。時間がかかって工期が長くなれば、その分人件費もかかります。時間と費用を食うという点が、手壊し工法の最大のデメリットといえます。

手壊し工法で使う工具

・バール

鉄製で棒状のくぎ抜きのことで、片方が90度に曲がっているのを利用して、てこの原理でくっついているもの同士を引き剝がすのに使います。

・インパクトドライバー

電動でネジをしめたり緩めたりできる工具です。腐食してかたくなり、人力だけでは歯が立たないネジも外すことができます。

・ネイルハンマー

片側にくぎ抜きがついているハンマーです。建材をたたき壊す用途で活躍します。

・レシプロソー

電動のこぎりの一種で、刃を往復させることで建材を切断します。刃を交換すれば、木材だけではなくプラスチックやステンレスなども切ることができます。

・タガネ(チゼル)

ヘラのような工具で、ヘラ部分を当ててハンマーでたたくことでレンガやコンクリートを剥がす・割る・削ることができます。

・チェーンソー

大きな電動のこぎりです。パワーがあるので柱などを切断するのにも活躍しますが、音が大きいのが難点です。

木造住宅解体の工事手順

次に、木造住宅の解体工事の手順を追ってみましょう。

先行手壊し

重機や車両が入るスペースを作るため、必要な分の解体を手壊しを行います。道路使用許可を取得して廃棄物の搬出車両を敷地横の道路に止めて、交通誘導員を配置したうえで塀などの障害物をまず壊していきます。

足場・養生の設置

高所作業のための足場を設置したら、騒音・粉塵の飛散を抑えるために養生も張っていきます。養生は、建物外部に資材が崩れ落ちるなどを防止したり、作業員の滑落を防止したりという役割も果たすため、非常に重要な存在です。

屋根の解体

まず屋根の瓦を1枚1枚丁寧に剥がすところから始め、それから屋根の下地を解体します。

解体工事は、基本的に建物壁の内側に壊した資材が集積するように作業を進めるため、屋根も解体したら屋内の2階部分にどんどん落としていくことになります。

内装の撤去

屋根がなくなったら、内装材や設備を手壊ししていきます。重機が入るスペースを作る意味もあるので、手作業で行える部分は全部進めます。ここも1つ1つ丁寧に取り外し、解体していくので時間がかかるでしょう。

壁の引き倒し

2階部分の躯体まで手壊ししたら、壁を内側に向かって引き倒します。非常に危険な作業なので、慎重に行います。

壁が倒れて安全が確保できたら、壁材を分別解体していきます。

重機搬入

ここでようやく重機の登場です。丁寧に手壊し作業を進め、廃棄物を分別しながら搬出していれば、重機が入るスペースができているはずです。

残った躯体を重機で解体していきますが、この作業時がもっともホコリが舞うときです。適度に散水しながら作業を行っていきます。

ちなみに手壊し作業の際にも多少のホコリは発生するため、重機搬入時ほどではないにしろ、散水は必要になります。

基礎の撤去

手壊し・重機の併用作業で建物部分を解体したら、残りは基礎の撤去です。完全な更地にするためには、基礎も取り除く作業が必要になります。

建物を支える部分なので頑丈な造りになっていることが多いため、こちらも重機で撤去していきます。

地中埋設物の確認・撤去

地上にある建物がなくなってから、地中埋設物の存在が発覚する場合があります。浄化槽や古い井戸ならば図面に載っていることもありますが、以前の解体工事で出たゴミなどが埋められていると、その存在に施主も気づかなかった、という事態はありえる話です。

ここできちんと確認して、撤去することになります。

清掃と整地

解体作業はここまでで終了です。敷地内に散らかった大小さまざまなコンクリートガラや木片などのこまごまとしたゴミを集めて清掃し、整地作業を行います。

廃棄物の搬出

分別が完了している廃棄物を搬出します。廃棄物を集積しておくスペースがない場合は、解体作業と搬出を並行して行う場合もあります。

まとめ

・木造建築物の解体工事には、工具を用いて人間の手で取り壊す「手壊し工法」が主に用いられる

・手壊し工法は、丁寧な手作業による分別解体が可能であるなどメリットが多いが、その分時間や費用がかかってしまうというデメリットもある

大胆に破壊されていくイメージの解体工事ですが、意外にも人間の手による作業が多いというのは驚きですね。

手壊し工法は、熟練した技術が求められるため、優良な解体業者をしっかり見極めなければなりません。木造戸建て住宅の解体を考えている際は、本記事の内容が参考になれば幸いです。

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