木造戸建て解体時にもアスベストには気をつけないとダメ?その危険性も復習

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「アスベストは危険・怖い」ということは知っていても、具体的に何がまずいということまで説明できる方はなかなかいないかもしれませんね。

古い建物や、鉄筋コンクリート造の大きなビルなどでないと、アスベストなんて無縁…ということもないのですよ。お住いの木造戸建て住宅にも、危険は潜んでいるのです。特に解体工事を考えているのであれば、その危険性はきちんと熟知していなければなりません。

今回は、木造戸建て住宅の解体とアスベストの関係性について、「アスベストとはそもそもどんなものか」から振り返りつつ、解説していきます。

アスベストとはどんなものか

アスベストの危険性

アスベストは別名「石綿(いしわた・せきめん)」といい、繊維状の鉱物です。「アスベストは人体に非常に有害で危険なものだ」ということは、漠然とはご存知という方は多いでしょう。

どう危険かというと、とにかく「小さい・細い」のです。人間の髪の毛の4000分の1以下の細さ、という驚異的な微細さなのです。

これを吸い込んでしまうと、体に取り込まれることなく肺に刺さったままたまってしまい、さまざまな重い疾患を引き起こしてしまう…ということなのですね。

そこに存在しているだけならそこまで危険性はないのですが、空気中に飛散して浮遊してしまうことがまずいのです。

「夢の材料」「奇跡の鉱物」として重宝されたアスベスト

アスベストは耐久性・耐火性に優れ、そのうえ軽くて加工が用意、さらに安価ということで、建設資材・電気製品・自動車などさまざまなところで使われてきました。1970年代にはその危険性がささやかれていましたが、規制には時間がかかりました。

アスベストを吸い込むことによって発症する恐れのある「石綿(アスベスト)肺」「肺がん」「悪性胸膜中皮腫」といった疾患は、潜伏期間が非常に長く、重篤なものばかりです。

規制されるまでの間に、知らず知らずアスベストを吸ってしまっていて、今苦しんでいる人たちがたくさんいるのも事実なのです。

アスベストは、その発じん性(飛散のしやすさ)によってレベル分けされています。

アスベストのレベル分け

レベル1:発じん性が著しく高い(もっとも危険)

アスベストの濃度が高く、少しの接触で崩れて飛散します。3つのレベルでもっとも危険な分類となっています。

このレベルに該当するのは、アスベストと水・セメントを混合した「吹き付け材」です。

ただし、レベル1に関しては木造戸建て住宅にはほとんど使われていません。

レベル2:発じん性が高い(かなり危険)

レベル2は貼り付け剤で、アスベストの上からシートなどが巻かれているためレベル1よりは飛散性が低いのですが、劣化してシートが剥がれるなどするとそこから飛散するため危険です。

このレベルに該当するのは、アスベストを含んだ保温材や耐火被覆材・断熱材といったものです。

こちらもレベル1同様、木造戸建て住宅にはほとんど使われていません。

レベル3:発じん性が比較的低い(やや危険)

レベル3に該当するのは、アスベストを含んだ成形板です。セメントなどを主な原料とした固い板状のもので、屋根材や壁材として使われていることが多く、通常はアスベストが飛散することはほぼありません。

しかし、もちろんアスベストは含有しているため、建物を解体するときには最大限の注意が必要となる点は変わりません。

レベル3に関しては、木造戸建て住宅にもよく使われています。というよりも、言い換えると、木造戸建て住宅に使われているのはほぼレベル3のみ、ということになります。

木造住宅とアスベスト

アスベストの危険性について説明してきましたが、一般的な木造戸建て住宅においてのアスベスト含有については、どうなっているのでしょうか。

前述したように、もっとも危険なレベル1、次に危険なレベル2のアスベスト含有剤は、一般的な木造戸建て住宅にはほとんど使われていませんが、レベル3に関しては注意が必要となるため、詳しく見ていきましょう。

アスベスト含有の判断方法

建築年で判断する

アスベストの規制は、年を追うごとに厳しくなっていっています。最終的には2006年に全面禁止されているため、2006年以前に建築された木造戸建て住宅には、多かれ少なかれアスベストが使われている可能性があるということです。

1975年 アスベスト含有量5%以上の吹付け作業禁止

1995年 含有量1%以上の吹付け作業禁止

2004年 含有量1%未満の白石綿(クリソタイル)以外の製造・輸入・譲渡・提供・使用造・輸入・譲渡・使用の禁止(全石綿の原則使用禁止)

2006年 含有率0.1%を超える製品の製造・使用の全面禁止

この表を見ると、建築年数が古いほど規制が緩かったため、より多くのアスベストが使用されていた可能性が高いといえるでしょう。

建築時の設計図書(施工図、仕様書、材料表)で確認する

住宅建築時の図面に、使用した建材名が載っていれば、アスベストが含まれているかわかることもあります。

専門業者に調査依頼する

建築年や図面でも判別がつかない場合は、アスベスト調査の専門業者に依頼してみるのが確実でしょう。

自治体によっては調査だけなら無料、除去にも補助金を交付している、というところもあります。積極的に利用したいですね。

木造戸建て住宅はどこにアスベストが使われているのか

前述のように、木造戸建て住宅の場合はアスベストが使われているといってもレベル3のものがほとんどです。とはいえ、解体工事の際には細心の注意を払わなければならないのは間違いありません。

どんな場所に使われているのかを確認していきましょう。

屋根

「スレート瓦」などと呼ばれている屋根材は、セメントとアスベストを混ぜていることが多いといわれています。「セメント瓦」も同様です。

屋根の解体の際には、全体的に注意が必要ですね。

外壁

スレート波板や窯業系サイディングと呼ばれる外壁材にもアスベストが含まれている恐れがあります。

内装材

天井や壁などに使用されているケイ酸カルシウム板、壁の下地に使われているパーライト板、石膏ボードやビニル床タイル・シートなどにもアスベストが使われていることが多いといわれています。

木造戸建て住宅でのアスベストについての考え方

何度か説明している通り、木造戸建て住宅に使われているアスベストはレベル3のものがほとんどで、また大半は含有量も少量です。

さらにセメントや合成樹脂で固められているため、普段生活している分には飛散の恐れはまずないといえます。

しかし、問題はやはり家屋の劣化・老朽化が進んだ場合です。朽ちたほころびからアスベストが飛散することは十分考えられるためです。

また、解体工事の際にも注意が必要になります。

心配な場合は、前項で述べた「アスベスト含有の判断方法」で確認してみるのがよいでしょう。

特にアスベスト専門業者による調査は、こちらも前述した通り、自治体によっては補助金交付の対象となっている場合もあります。調査だけではなく除去にも補助が適用されることもあるので、まずはお住いの自治体のホームページなどで確認してみるとよいでしょう。

まとめ

・アスベストはごく微細な繊維状の鉱物で、人体に非常に有害である。その危険レベルは3段階に分かれている

・木造戸建て住宅に使われている恐れのあるアスベストは、比較的危険度の低い「レベル3」が大半で、しかも通常の使用であれば問題はない

・しかし建物の老朽化にともなうアスベストの露出、解体工事における飛散には十分な注意が必要となる

危険性が低めといっても、注意するに越したことはないのがアスベストの扱いです。古い木造戸建て住宅をお持ちの方は、ぜひ記事の内容を参考にしてくださいね。

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